市町村役場職員になるには?試験情報や受験資格などのまとめ
2023.06.22

市町村役場の職員は、地域住民の窓口となって行政サービスの提供などに従事する地方公務員です。基本的には、他の市町村への転勤などもなく安定した生活を送れる公務員のため、学生や転職を目指す社会人に人気のある職業となっています。
そこで今回は、市町村役場職員の仕事内容や試験の特徴、受験資格などについて詳しくご紹介します。また、市町村役場職員に向いている人の適性なども併せてご紹介しますので、公務員試験の受験を検討されている方などは参考にしてみてください。
1.市町村役場職員とは?
市町村役場の職員とは、市町村などの行政単位で働く地方公務員です。市役所や町役場、村役場などで働く方のほか、政令指定都市の区役所や市町村の出先機関などで働く方たちも多くが市町村役場の職員に該当します。
市町村役場の職員は地元で就職を探す学生なども多く志望します。法律で身分を保証される公務員のため、将来の安定性なども評価され、多くの人から人気を集める職業の一つとなっています。
最近は、女性の社会進出を推し進める政策などによって男女平等に活躍の場が与えられる機会も増えており、その模範となるべき公務員は結婚や出産などのライフイベントに対する福利厚生も整っていることから、女性からも支持されています。
2.仕事内容や特徴
市町村役場の職員は各自治体が独自の裁量で採用試験を行っています。こちらでは市町村役場職員の仕事内容や試験の特徴について確認してみましょう。
2-1.仕事内容
市町村役場の職員は、地域住民の窓口となって行政サービスの提供を行う地方公務員です。市役所などの窓口で戸籍謄本や住民票などの交付を行う戸籍情報の整備・管理のほか、道路の保全・管理、公園などの保護・管理、ごみ処理やリサイクルに関する事業などの仕事を行っています。
また、東日本大震災以来注目を集める防災や安全対策、上下水道の管理、商業や農業振興に関する取り組み、文化・スポーツの振興事業、子育て支援、高齢者対策なども全て市町村役場で行う仕事です。
市町村役場の職員は主に市町村役場や関連施設などでこれらの職務に取り組み、国や都道府県などと比較してもより地域住民に近い場所から行政サービスを提供できる仕事となっています。
人口50万人以上の政令指定都市では、本来都道府県が担う都市計画や福祉などの事業も行うことがあり、幅広い職務を経験できる仕事内容となっています。
2-2.試験の特徴
市町村役場職員の採用試験は各自治体でそれぞれの定める方法により実施されることが大きな特徴です。基本的には、地方上級(大卒レベル)や地方初級(高卒レベル)などの区分に分けて職種ごとに採用試験が実施されています。
合格率は自治体や募集職種によって大きく異なるためバラつきもありますが、採用人数の少ない技術職などでは合格率が極端に低くなる職種もあるため注意が必要です。
・横浜市 令和2年度大卒程度試験結果(一部抜粋)
試験区分 | 受験者数 | 最終合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
事務 | 1,918人 | 381人 | 19.9% |
心理 | 43人 | 14人 | 32.6% |
情報処理 | 11人 | 2人 | 18.2% |
土木 | 102人 | 59人 | 57.8% |
建築 | 38人 | 24人 | 63.2% |
機械 | 20人 | 12人 | 60.0% |
環境 | 53人 | 3人 | 5.7% |
(参考:横浜市ホームページ)
上表は横浜市の令和2年度大卒程度の試験結果を職種ごとに一部抜粋してまとめたものです。最終合格者となった人数や合格率は職種ごとの試験区分によって大きく異なります。最も採用人数の多い事務では最終的に381人が合格となり、合格率は19.9%ですが、建築や機械などの技術系では合格率が60%を超える一方、環境は5.7%と合格率の低い試験です。
このように、自治体や職種によって募集予定人数などが変わるため、市町村役場職員の採用試験を受験する場合はそれぞれの自治体における職種ごとの採用予定人数や過去の試験合格率などをチェックする必要があります。
また、試験の内容についても自治体や職種によって実施される試験が異なるため、事前の調査が必要です。市町村役場職員の採用試験では一次試験で五肢択一式の筆記試験、二次試験で面接試験が課される場合が多くなりますが、技術職では採用職種に応じた専門知識を問う専門試験が課されることもあります。
与えられた課題に対して決められた字数で自分の考えを述べる論作文が課される自治体も多く、中には集団討論などによって選考を行う自治体もあるため、受験する自治体や職種に応じた試験対策を行わなければ難しい試験です。
市町村役場職員の採用試験は日程が重複しない限り、複数の自治体や職種を併願することもできるため、希望職種や自治体の試験情報は事前によく確認しておくことがポイントです。
3.公務員試験の受験資格
市町村役場の職員になるための公務員試験は、自治体や職種によってその内容も大きく異なりますが、受験資格もそれぞれの自治体によって異なります。こちらでは、①地方公務員の欠格条項、②年齢要件、③資格要件という3つの受験資格について確認してみましょう。
3-1.地方公務員の欠格条項
地方公務員法には欠格条項が明記されており、この条項に該当しないことが地方公務員試験の受験資格の一つです。欠格条項では成年被後見人や被保佐人、禁固以上の刑に処せられ執行が終わっていない者などが受験できないこととなっており、受験しようとする地方自治体から懲戒免職処分を受けて2年が経過していない者も同じ自治体を受験することはできません。
これらの欠格条項に該当する方はごく少数ですが、試験要綱には欠格条項についての記載があるため留意しておきましょう。
3-2.年齢要件
地方公務員の採用試験では自治体や職種によって年齢要件が設けられているため注意が必要です。地方初級試験(高卒程度)では18歳〜21歳前後、地方上級試験(大卒程度)では受験可能な上限の年齢が29歳〜35歳に制限されているケースが多くなっています。
最近は、経験者採用枠として年齢制限を設けずに募集を行う自治体もありますが、多くの自治体は職種ごとに年齢要件を定めているので事前の確認が重要です。
3-3.資格要件
地方公務員の採用試験では国家資格などを保有していることが受験資格として求められる職種もあります。資格要件が定められているのは一部の技術系職種で、社会福祉士や保健師、獣医師などの資格を保有していなければ受験できない試験もあります。
基本的に行政などの事務職に資格要件はありませんが、技術系の職種を志望する場合、募集要項などで資格要件についても事前に確認しておく必要があります。
4.市町村役場職員に向いている人はこんな人
市町村役場職員は様々な職務を執り行う職業です。そのため、多様な仕事内容に取り組んでみたいチャレンジ精神のある方には向いている職業と言えます。
また、地方公務員は法律によって身分が保障されているため、長い期間をかけて安定的に職務に励むことのできる職業です。そのため、何かを成し遂げたいと使命感を持って仕事に取り組みたい方にも向いている仕事となっています。
さらに、市町村役場の職員は住民の近くで行政サービスに取り組む仕事という側面もあるため社会貢献をしたい方にも向いている仕事です。特に最近はサービスを受ける住民や関係者との調整能力が問われることも多くなり、コミュニケーション能力が重視される風潮もあります。
そのため、様々な人たちと関わりながら円滑に仕事を進められるコミュニケーションが上手な方にも向いています。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、市町村役場職員の仕事内容や試験の特徴、受験資格などをご紹介しました。市町村役場の職員になるためには地方公務員の採用試験に合格する必要があり、採用試験は自治体や職種によって試験内容や受験資格が異なります。そのため、市町村役場職員を志望する際にはこれらの情報を事前に確認することが重要で、その情報をもとに試験対策などを行うようにしてください。
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