税務署職員ってどんな仕事?特徴・適性まとめ

2023.06.22

税務署職員ってどんな仕事?特徴・適性まとめ|資格スクール 大栄
公務員

税務署職員とは、主に全国各地の国税局や税務署などで勤務する国家公務員のことです。本庁である国税庁を含めると全国で約5万6千人を超える職員がおり、税金の徴収や賦課などを行うなどして国の財政基盤を支えています。

今回は、税務署職員を目指す方や仕事内容に興味のある方のために、税務署職員の特徴や採用試験の概要、税務署職員に向いている人柄・性格について詳しくご紹介するので、参考にしてみてください

1.税務署職員とは?

税務署職員とは、全国各地の国税局や税務署で働く国家公務員です。日本国内で課される所得税や法人税、相続税などの税金の適正な課税や徴収を維持するために日々活躍しており、税務調査や税金の徴収などの様々な業務を行っています。

2.仕事内容や特徴

税務署職員は公正な課税の維持や適正な徴収などに取り組むのが主な仕事内容です。採用後は税金のスペシャリストとして国税調査官や国税徴収官、国税査察官などの職種に分かれて活躍します。

国税調査官 主に適正な申告が行われているかの調査・検査を行う職種です。納税義務者である個人事業主や会社のもとを訪れて税務調査を実施し、必要に応じて税務申告に関する指導なども行います
国税徴収官 定められた納期限までに納付されない税金の督促や滞納処分を行い、納税に関する指導なども行う職種です
国税査察官 裁判官から許可状を得て捜査や差押等の強制調査を行い、悪質な脱税者を検察官に告発する職務を担います

いずれの職種も専門知識が必要となるのが特徴で、簿記や会計学だけでなく経済学や会社法、民法、商法などにも精通した幅広い知識が求められる職業です。

3.税務署職員になる方法

国家公務員である税務署職員になるためには、主に以下の3つの方法があります。

  • 税務職員採用試験
  • 国税専門官採用試験
  • 国税庁経験者採用試験(国税調査官級)

3-1.税務職員採用試験

主に高校や中学校の卒業者を対象とした試験で、2020年に実施された試験では以下のような受験資格が定められています。

(1) 2020年4月1日において高等学校又は中等教育学校を卒業した日の翌日から起算して3年を経過していない者(2017年4月1日以降に卒業した者が該当します。)及び2021年3月までに高等学校又は中等教育学校を卒業する見込みの者
(2) 人事院が(1)に掲げる者に準ずると認める者

高校や中学校を卒業してから3年を経過していない方や、その年度の3月に高校や中学を卒業見込みとなっている方が対象となります。試験は多肢択一式の基礎能力試験と適性試験、記述式の作文試験、個別面接試験が課されます。

3-2.国税専門官採用試験

概ね30歳までの大学を卒業した方を対象に実施される試験で、2020年に実施された試験では以下のような受験資格が定められています。

(1) 1990年4月2日~1999年4月1日生まれの者
(2) 1999年4月2日以降生まれの者で次に掲げるもの
A 大学(短期大学を除く。)を卒業した者及び2021年3月までに大学を卒業する見込みの者
B 人事院がAに掲げる者と同等の資格があると認める者

主に大卒者が対象となる試験ですが、1990年4月1日以前に生まれた方は対象とならないため、概ね30歳までが受験可能です。試験は多肢択一式の基礎能力試験のほか、多肢択一式と記述式の専門試験が実施され、2次試験では個別の面接試験が課されます。

3-3.国税庁経験者採用試験(国税調査官級)

国税庁では他の公務員や民間企業の職員として職務経験のある方を対象とした経験者採用も行っています。2020年度の試験では同年4月1日現在で大学(短期大学を除く)を卒業、または大学院過程を終了してから8年以上経過した方が受験可能です。

求める人物像としては、民間企業や官公庁などで正社員や正職員として8年以上の職務経験があることや、税金や財務、経理、情報処理、営業などでの職務経験を有することなどです。

試験は多肢択一式による基礎能力試験と記述式による経験論文試験が課され、その後2回実施される個別試験にも合格しなければなりません。

経験者採用試験では採用を希望する国税局を選択することができ、2回の面接試験は採用希望の国税局に対応した都市で面接試験が行われるのも特徴です。採用予定人数については各国税局で定めていますが、民間企業と同様に団塊世代の定年問題等もあって、経験者採用枠は以前と比べて増加傾向にあります。

これまで募集人数の多かった東京国税局や大阪国税局以外でも経験者採用が積極的に行われており、地域によっては採用の年齢幅が広がりつつあるのも特徴です。

4.「高卒程度」と「大卒程度」の違い

国家公務員試験では一般的に高卒程度や大卒程度という区分を設けて採用試験が行われています。税務署職員の採用試験も同様で、税務職員採用試験(高卒程度)と国税専門官採用試験(大卒程度)という区分に分けて実施されています。

ただし、税務署職員については試験の区分だけでなく採用後の研修でも違いがあります。例えば、税務職員採用試験に合格した新規採用者には1年間に及ぶ研修が全寮制で実施されます。これは、専門知識が必要となる税務署職員に必要な簿記や会計学、税法科目、民法、商法、会社法、経済学などの知識と技能を身に付けるために行われるもので、全寮制の生活を通じて社会人としての良識や公務員の自覚を身に付けることも目的に実施されています。

税務職員採用試験(高卒程度)では基礎能力や適性検査のみの試験となっており、簿記や会計学などの専門知識に関する試験が実施されないため、採用後にこれらの知識などを養う目的で1年間にも及ぶ研修が実施されています。

そして、国税専門官採用試験に合格した新規採用者には3か月間の研修が実施されます。この研修は税務職員(高卒程度)とは異なり、試験で専門科目の出題をクリアしていることからある程度の専門知識があることを前提に行われるものです。そのため、税法科目や簿記、会計学、実務講義などから編成されており、期間も高卒程度と比べると短くなっています。

このように、高卒程度と大卒程度では採用試験で会計学などの専門試験が課されるか課されないかの違いがあり、採用後の研修にも大きな違いが出てくるのが特徴です。なお、経験者採用試験の合格者については税金や財務、経理、情報処理、営業職などでの職務経験が求められているため、ある程度の基礎知識などがあるものとして大卒程度と同様の研修が実施されています。

5.税務署職員に向いている人はこんな人

税務署職員は専門的な知識を扱う職業ですが、外部との接触も多いためコミュニケーション能力も必要とされる職業です。

例えば、税務調査では自分より年上の会社経営者などと会話する機会も多く、お互いに利益が反する中、調査結果をまとめるためには調査対象に対する丁寧な説明なども求められます。そのため、コミュニケーション能力の高い人や他人との調整能力が高い人には向いています。

また、税務署職員として活躍するためには専門的な知識が必要であり、税法などは毎年改正されるため常に新しい情報を更新しながら業務にあたる必要があります。そのため、知識の蓄積を日々継続できる人や、新しい知識などを積極的に吸収したいと考えている探求心のある人にも向いています。

6.まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、税務署職員の概要や仕事内容などをご紹介しました。税務署職員になるためにはいくつかの方法がありますが、経験者採用枠などを活用することで年齢などの制限を受けることなく国家公務員になることもできます。税務職員の仕事に興味のある方は、自分に向いているか・向いていないかを見極めた上で、採用試験の概要やスケジュールを確認するようにしましょう。

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